
BUENO!) 今回は四国の櫛本さんのお宅へお邪魔して、リラックスモードの中、櫛本さん、美絵さん、そしてブエノプロデューサーの上平さんに『氣』出版後のエピソードなどをお話して頂けたらと思います。よろしくお願いします。
UEHIRA) (机の上を指して)ここにある『氣』は写真家の繰上さん(繰上和美氏)に送るんですか?
MIE)
そうです。お手紙も筆で書いて。なんて書いたの?

KUSHIMOTO) “関西方面に来て時間あったら電話くれ。飯食いに行きましょう。話があるから。”
MIE) “話があるから”って恐いやん、そんなん(笑)。みんなビビるよ。
UEHIRA) (笑)。この本を見て繰上さんが何と言われるか楽しみですね。
KUSHIMOTO) そうですね。最近、広川さん(広川泰士氏)があの年代(50代〜70代)のイケてる人達を呼んで一緒に遊んでくれてるんですけど、向こうは僕のこと知らんから、名刺代わりにこの本を送ると絶対にあとで電話かかってきて、「この装丁はすごいね〜!」から始まるんですよ。相手は皆一流の人ばっかりだから、僕めっちゃええセールスマンしてる思いますよ(笑)。
MIE)
この間は平間至さんのワークショップに行って、平間さんに作品を提出する時にこの本を持っていったら、他の人には何にも言わなかったんですけど、これだけは欲しいって言われました。サインをお願いしたら“いやぁ、すごい!櫛本さんはすごい!”って書いてくださって(笑)。それから、私がすごく尊敬している現像の名人で、TCK(東京カラー工芸社)の小野ヨシ子さんという方がいるんですけど、小野さんにも本を欲しいと言われました。
KUSHIMOTO) 広川さんも言ってはったけど、プロとかアマチュアとか関係なしに、絶対に撮られへん瞬間がここにはあんねんて。構図とか言うてられへん状態の時の写真が芸術だっていう時がある。俺は13歳からサーフィンしかやってへんから、たしかに記録に撮ったらそういう瞬間はあんねん。好きなこと一つを意地でも30年も40年も、何億もかけてやってウロウロしてるようなやつ、そうおれへんで(笑)。
UEHIRA)
たしかにそうですね。そういう意味では、この写真集には載っていないたくさんの写真の中から、これらの瞬間をセレクションしてくれた豊田君(豊田弘治氏)もすごいですね。
MIE) 本当に。豊田さんの最終のフィルターがなかったら私の写真は世に出てなかったと思う。勇気付けてくれたり、いろんな広告に根強く使ってくれたりもしましたし。
UEHIRA) サーフィンを写真に残そうと思ったのはいつ頃からですか?
KUSHIMOTO)10年から15年くらい前からですね。紙舞台に残すっていうのはコンピューターの前に座って見る写真とは全然違う。ええ写真集っていうのは永遠に不滅やと思うわ。
UEHIRA) この本は蛇腹になっているから、ページをめくるリズムも楽しいですよね。
MIE) そうそう、波のリズムみたいに。蛇腹にしてもらって本当に良かった。
KUSHIMOTO) この間、『氣』を誠治さん(永井誠治氏・DEPT社長)に送ったら、どうしても僕に会いたいって連絡があって会いに行ったんです。そしたら、誠治さんが持っている本の中から、これと全く一緒のつくりの本を出してきたんですよ!それは誠治さんが一番の好きな本で、テキスタイルの端切れを貼り絵にしたアートブックなのですが、僕の送った『氣』と全く一緒だったからビックリしてもうてなぁ!って言ってました。趣味が似てるんです。
UEHIRA) 誠治さんには、ブエノでも小林昭さんの『P.O.P』を作った時に写真の協力をして頂いて大変お世話になりました。
KUSHIMOTO) そういえば昨日、「ペネトレイターズ」で映像カメラマンをしていた大倉から電話がかかってきて、あの映像の中でT12のシーンをコンパクトにまとめて、自分の作品として出したいって言ってきたんですよ。たしかにあのシーンはアメリカ人のドキュメンタリーの巨匠も一番いいって言っていたシーンで、大倉はお金は無いけど才能はごっつある奴やから、誠治さんに紹介してあげようと思ってるんです。誠治さんって目のギラっとした若者が好きでサポートしてくれる人やし、二人はソウルの部分で合うと思うねん。俺も自分のことよりも、こういう若い子を何とかしてやりたいと思ってますね。
UEHIRA) たしかに、僕もあのシーンを見た時、最初、美絵ちゃんがジェットスキーの後ろに乗って首にタオルをかけて、一体何が始まんねん!?って思いました。あの映像がまた日の目を見て、大倉君にとってもプラスになっていったらいいですね。ところで、櫛本さんはこれまでに世界中でサーフィンしていますが、これから行ってみたいところはありますか?
KUSHIMOTO)
あんまない。今は、違う世界に生きてきた人たちにサーフトリップで人間が変わるっていうことを伝えていきたい。今までは自分がこの波乗りたい、あの波乗りたいってやってきたけど、もう行くとこ行ってもうたし、100年に一回のでっかい波待ってても、もう生きてる間には来えへんやん。そんなんよりも、色んな人を今まで自分が行ってきた場所に連れて行って一緒に旅できたら自分もまた新しい発見できるんじゃないかと。別に同業者にジェラシーがあって一緒に行くのが嫌だとかじゃなくて、俺は今までサーフィンだけしてきて違う世界を全然知らんから、それを勉強できるのも面白いから。勉強するにしても、トップクラスの人から話を聞いた方が早いし。言うことは皆よう似てんねん。最後は心やなって(笑)。そういうことは、そう簡単には学ばれへんことやし、生きてるだけ奥深くなっていく。でも、そうは言っても僕もまだチャレンジはあるよ。今後やるとしたら、スタンドアップでごっつい波とか乗りたいわ。仕事も若い頃みたいにがっついてせんでええし、ペースダウンしてええもんをゆっくり作るわ。
UEHIRA) ところで今年はハナレイへはいつ頃行くんですか?
KUSHIMOTO) たぶん12月5日位ですね。
MIE) 上平さんは今年はいつ頃来るんですか?
UEHIRA) 僕は1月に行こうかなと。
KUSHIMOTO) できれば時間の許す限り来てくださいよ。10日間とか2週間とか。ハナレイはおればおるほどおもしろいですよ。もうそんなこと最近してないでしょ?
UEHIRA) してないですね。いても4、5日で、やっと体が馴染んできたという頃に帰らなければ行けないので…。また豊田君と一緒に行けたらと思います。